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首都大学東京村田啓子教授の「若年者雇用~敗者のレッテル」の示唆   

 本日28日付日経朝刊のやさしい経済学」のコラムの中で、村田教授は「敗者のレッテル」として、阪大近藤講師の研究を紹介している。「新卒市場で就職に失敗すると、『敗者のレッテル』が貼られるというシグナリング効果が存在し、新卒採用重視の雇用慣行と相まって、『初職(最初の仕事の意)』効果を強めている可能性がある」と指摘している。

 救いだったのは、村田教授と一橋大堀雅博教授との共同研究でわかった、「新卒時に労働需要が悪く正社員に就かなくても、卒業後3年以内に一度でも正社員に就いているか否かの確率が、新卒で正社員に就いた人とあまり変わらない」というデータだ。つまり、やり直しというか挽回が利くという福音がそこにはある。


 しかし、卒業後に景気がよく正社員に就けても、「3年以内に正社員からいったん離れると、その効果は薄れる」というデータはやはり厳しい。


 就活でしのぎを削り、晴れて正社員になっても、「3年以内に3割が辞めてしまう」現状を考えるとき、列車が引込み線から本線に戻れる多様性ある社会(ダイバーシティ)にする必要は、この国の発展のため、絶対必要だ。ギャップイヤー導入もそのためとも言える。

※JGAPのウェブサイトはhttp://japangap.jp
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by krisyoyogi | 2011-04-28 12:09

オックスフォード大苅谷剛彦(社会学)教授も就活批判   

 日経4月20日付朝刊の「経済教室」コラムにおいて、オックスフォード大学の苅谷剛彦(社会学)教授が、「人材力強化」のテーマで持論を展開している。いわく、1998年以後、新卒就職者に占める四年生大学卒業者の割合が高校生を抜いたのに、大卒者の就職の仕組みが「大学無用論」(卒業後の社会や会社のOJTにおまかせ)の発想を抜けていないというものだ。だから、大学入学後の中身が問われないから、就職難になっても、大学の入学偏差値ランクが依然として大きくものを言う。就活が早期化・長期化した結果、大学での教育の中断が長期に及んで、今や大学教育は4年間でなく3年弱、大学での人材育成の時間まで奪ってまで、各企業は我先にと採用活動を前倒しする。それゆえ、この島国では、実質いまだに「大学無用論」がはびこっていると分析している。こんなことを放置しておくと、とんでもない高等教育の低下・劣化を招き、日本の将来を担うべき若者、そして日本そのものを危うくするというJGAPがこれまで行ってきた主張と同じだ。その憂いべき姿は、震災や原発対応で右往左往する日本の政官のリーダー達の機能不全と二重写しになってしまう。

 苅谷教授は「様々な調査が示すように、国際的にみても日本の大学生は大学外での授業が短い。授業の予習もない。多くの文献を読みこなし、自分の考えを論理的に表現することが求められるリポートを書くことは米国では当たり前(中略)。日本の大学はアルバイトと就活のための期間に見えてしまう」と展開する。

 私には、大学は「就活」のための”期間”でなく、”機関”に陥っていないかさえ心配だ。現場の大学教員に聞いても、学生から「会社説明会が・・・」「会社から急に呼び出されて・・・」などと言われると、ほとんど無抵抗に、授業やゼミの出席は免罪されている現状があるのではないか。

 しかし、国際的高等教育の競争(綺麗な言葉だが、国家間競争と言い換えてもよい)からみると、こんな「大学教育無用」が悠長に許される余裕はどこにもない。大学は修学というこれまでの「縦軸」にプラスして、親元離れた非日常の中で、「就労(インターン)と社会体験(ボランティア・国内外留学)」の「縦軸」を編みこんで、「大学生の完成品」を目指した、国際競争力ある高等教育を創ることが求められている。日本版ギャップイヤー(Jギャップ)は小手先でなく、各大学が実情に応じて構築していく真の「大学生の人材育成プログラム」だと理解いただきたい。(参照:JGAPのウェブサイト「ギャップ総研」のコラムに「緊急提案1.2.」に格納 http://japangap.jp)

 同教授は「戦後の復興が初中等教育の充実によってもたらされたとすれば、ポスト3・11の日本再生には、大学教育が出番となるはず」と大学に次世代の日本のリーダー育成装置の機能を求めている。


 「豊かな教養と専門性に裏打ちされた、組織や慣習に縛られない、賢明な判断力と建設的な批判力と果敢な行動力が、危機を乗り越えチャンスに変える」そんな資質を大学に求めていて、期待する見る目は温かい。そして、「大学側の奮起と個別利害を超えた企業の対応を」と結んでいる。


 日本にもそのよう資質を持つ既存の大学はないだろうか。秋田の国際教養大学の努力を観ていると、一つのロールモデルになる可能性は十分あると考える。「ギャップイヤー制度」は当然取り入れている。


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by krisyoyogi | 2011-04-22 17:27

ギャップイヤーに竹中平蔵慶大教授が言及   

4月18日付日経新聞に、経産省主催の「グローバル人材育成」関連のシンポジウムの採録が掲載されていた。基調講演に立った竹中慶大教授は「グローバル人材育成に大学卒業後、就職する間に時間があくなら、その期間を利用して、国際コミュニケーション教育を充実させる文脈で語っている。また、半年から1年間の留学と海外での単位取得を義務付けることを提唱している。語学力向上だけでなく、人間的に大きく成長できるチャンスと訴える。まさに、ギャップイヤーのメリットそのものだ。別に海外でなくとも、一定期間親元を離れ、限界集落でボランティアやインターンをやっても構わない。非日常性の場を作る必要がある。


竹中教授はこう結んでいる。「日本の若者には、恵まれた環境にあるうちに、グローバルな世界に挑んで欲しい」


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by krisyoyogi | 2011-04-20 21:37

一般社団 日本ギャップイヤー推進機構協会(JGAP)の公式ウェブサイト開設!   

 一般社団 日本ギャップイヤー推進機構協会(略称:JGAP)の公式ウェブサイトが、4月17日に正式にデビューする。ギャップイヤーは、英国で生まれた慣習だが、若者が高等教育の前後に親元を離れ、「インターン(就職先に直結しない就業体験)・ボランティア・国内外留学」を4ヶ月から1年経験して、就労・社会・国際(他地域)体験により、生き抜く力をつけてもらおうというもの。特に、人文・社会科学専攻の学生達はスキルもキャリアマインドもつけにくく、推奨できる。授業が縦軸なら、横軸としてギャップイヤーを織り込んでいこうという運動といえる。

 サイト内では、今後欧米を中心にギャップイヤーの効用が評価され人気が高まる中、学術研究含め、その動向を発信し、国内での成功事例も紹介していきたい。


早速、JGAPのシンクタンク部門の「ギャップイヤー総研」からも提案活動をするが、政策能力を高めたい。


 また、読み物の目玉として、連載「私のGAP YEAR時代」に注目いただきたい。ギャップイヤーを体験してきた”人生の先達”に当時のエピソード、現在の自己形成に与えた意味を総括してもらうインタビューだ。初回は、ギャップイヤー発祥の英国から、現在ブリティッシュ・カウンシル駐日代表のジェイスン・ジェイムズさん。ちょうど25年前、英国の高校卒業後、ケンブリッジ大学入学前に、東京にギャップイヤーで来日されていた。オープニングにふさわしい語り部だ。当時のインターン経験等を包み隠さず、お話いただいている。読者は氏の日本に対する想いに、引き込まれることだろう。


 「第2回は・・・」、ヒントは日本人でインタビューも終了しているが、次回のお楽しみということで、ご容赦下さい。「この人も当時はギャップイヤーという言葉はなかったが、そのもので、紹介したい」というようなお話があれば、是非推薦願いたい。若者達に対して、挫折や迷いや失敗も、人生においてはすべて香辛料だくらいのダイナミックな人生論に読者と共に成長させたい。

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by krisyoyogi | 2011-04-16 23:48

東京外大の学部教育組織再構への期待~「国際社会学部」と「言語文化学部」「~   

 東京外大が来年度入学組から学部教育組織を再構成するという。現在の外国語学部を仮称だが、文科省への改編手続きが受理されれば、「言語文化学部」と「国際社会学部」の2学部になる予定だ。「言語文化学部」では、世界諸地域の言語と文化に通じ、優れたコミュニケーション能力と人間的な想像力を備えるとともに、国際社会の舞台で言語間・文化間の媒介者として活躍できる人材を養成、一方、「国際社会学部」では、世界諸地域の歴史や社会の仕組みに通じ、そこに内在する問題をグローバルな視野で解決できる能力を備えるとともに、国際ビジネスの舞台で幅広く活躍できる人材を養成するとニュース・リリースにある。
どちらの学部に入学しても、最初は「世界教養プログラム」と呼ばれる共通カリキュラムにより、選択した言語とその地域をめぐる基礎的な教養を学べ、また、グローバル化時代に生きる市民としての素養、コミュニケーションや数量的なスキル、加えて論理的思考力や問題解決能力、これらの獲得や向上を目指すという。日本の新たな高等教育の形を提示するものとして、注目したい。是非、さらなる人材育成プログラム向上のため、ギャップイヤーの要素である、海外での「インターン・ボランティア・留学」を組み込んでもらいたい。

 気になる点が一つある。来年実施する2012年(平成24年)度入試については、「言語文化学部」は前期日程入試に加えて推薦入試による選抜を行うが、「国際社会学部」は前期日程および後期日程の2選抜に限るとしている。「多様性」の視点からは、是非「国際社会学部」にも、高校時代のボランティア経験を考慮する等、推薦入試も充実させてもらいたいものだ。

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by krisyoyogi | 2011-04-15 11:15

リクルートの「就職人気企業ランキング」情報消滅の意味   

 リクルートの創業は1960年。その5年後から、「就職人気企業ランキング」を春に発表してきたが、今年からは公表しないことを明らかにした。大学・短大への進学率が50%を超え、学生の志向が多様化する中、一律のランキングを提示する意味が薄れたというのが理由と各紙は伝える。その時代時代の背景を映し出す鏡のような役割を果たしていたようにも思えるが、金太郎飴のような多様性なき学生の思考状態(つまりみんなが入りたがる会社だから価値があるに違いないという他者評価の鵜呑み)を作り出すことにも貢献してきたと思うので、いい潮時だと思う。

 これがきっかけで、大学生も大学のキャリアセンター(就職部)も、そして親御さんも、会社の規模の大小や知名度、イメージ先行の”就社”意識から脱却し、自分のキャリアに関する評価軸を構築するチャンスと考えるべきだ。他の出版社や就職支援会社のランキング発表も同様にやめてくれることを期待している。大学合格者高校別ランキングの発表のように、公表をやめると何度も宣言しておきながら、結局部数増のため、復活させた雑誌のようにならなければいいのだが・・・。



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by krisyoyogi | 2011-04-15 10:37

グローバル人材と留学   

 経産省の「グローバル人材育成に関するアンケート」によると、「海外拠点の設置・運営にあたっての課題」(複数回答)の一番は唯一5割を超えている「グローバル化を推進する国内人材の確保・育成」である。それは大企業の海外依存度(連結売上高に占める海外売上高の割合)を見ても、ホンダ82%、ソニー71%、東芝55%となっており、このトレンドは国内マーケットの成長の限界を考えると加速することだろう。

 留学生向けの就職イベントを手掛けるフォースバレー・コンシュルジュの柴崎洋平代表は、留学ジャーナル誌上で、「就職という観点からアドバイスすると、留学中にインターンシップに挑戦したらどうか」と語っている。

 JGAPの「インターン・ボランティア・国内外留学」の3軸モデルを体現するような提案だが、社会が求める社会性や多様性を考えると、「留学中に新興国で国際ボランティア」も魅力的な試みだ。
 
 いずれにせよ、こういう体験をしたというより、そこから何を学んだか、自分がどう成長したかを総括し、明らかに示すことができるかが重要だ。

 留学生人口は年間8万人から6万人規模と減少傾向は続くだろうが、休学なしに海外留学先で交換単位を取得できる環境を整えるなど、青年の成長のため、日本のおとな側の努力も問われている。



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by krisyoyogi | 2011-04-14 00:43

心の強さ   

 4月11日付日経によると、ミネベアが12年度入社の採用活動で、大学などでの外部説明会を50回(前年度3割増)にしたという。
同社の採用枠は100名に満たないが、就職サイトで1万人がエントリーするため、会社への志望意欲が高い学生が面接に進めないといったミスマッチを防ぐためというのが理由らしい。
 1社で50大学で説明会となると、これが同じ理由で100社に及ぶと延べ5000大学になる。人気大学に集中するため、こんなことがはやると、はびこると、またまた大学や修士課程の授業が落ち着かなくなる負のスパイラルは続く。


 同日付の教育ページで、文科省出身の品川区立大崎中学校の浅田和伸校長が感慨深げに言う。
「最近痛感するのは、教員に限らず”打たれ弱い”人が多いことだ。自分の思い通りにならないと、すぐに心が折れてしまう」

 浅田さんは最後にこう結ぶ「社会で生きる上で、本当に必要なのは、思い通りにならない時に、自分を失わず、辛さに耐え、前向きに乗り越えていくことができる”心の強さ”だ」

 今の大学生にも必要なのは折れにくい心であり、会社に入るためのエントリーシートの書き方や好印象を残すための面接テクニックなどとはま逆のことのように思える。


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by krisyoyogi | 2011-04-13 21:15

「ユースインターナショナル・スカラシップ」はギャップイヤー制度の一形態   

 人材サービス大手のテンプスタッフグループの株式会社テンプ総合研究所(称号:ICC国際交流委員会が「第21回テンプグループ・ユースインターナショナル・スカラシップ」を発表した。前身が1990年からスタートしているので、20年超の歴史がある。

 1年間、18歳以上の学生を対象に、海外の大学で学べインターンとしてビジネスを実践というプログラムで、言葉には出てこないが、ギャップイヤー制度だと考える。応募締切は2011年5月19日(木)。大学は海外5大学から、またインターン受け入れ先は金融・IT・マスコミから、政府機関やNPO法人等。研修期間は2011年9月、2012年4月、2012年9月の3期から1年間で選択が可能なため、授業や就職活動と調整しながらの参加が可能というのがミソだ。

 ただ、学費・滞在費免除の「特待生」は2名と激戦は必至で、学費免除の奨学生も7名、学費一部免除の優待生は40名と相当難関だと覚えておかなければならない。選考方法は第1次選考(書類審査「応募時の作文」)から第2次選考(筆記試験「英語」と面接「日本語」)となる。


 ニュースリリースの参考資料に、以下の記述があった。


 厳しい就職市場に向け、自身の競争力を高める手段のひとつとして「留学」を検討する学生もいるが、実際は就職活動に遅れが出たり、費用の負担が難しいなどの理由から断念するケースが多く見られる。日本人の海外留学者数は約11%減(注1)となっているが、英語圏で就業体験ができる留学プログラムに参加する学生は33%増加しており(注2)、就職や将来に役立つプログラムであれば、参加したいという意思も伺える。

 迷い、逡巡する大学生の姿がそこに映っている。


(注1)文部科学省「日本人の海外留学者数」より
(注2)ICC国際交流委員会IBPプログラム学生参加者2006年、2010年比較
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by krisyoyogi | 2011-04-07 09:32

清泉女子大(東京・品川区)の被災男子学生受け入れの英断   

 4日付けの清泉女子大のニュースリリースによると、被災された他大学の学生を「科目等履修生」として履修費免除で受け入れを決定したという。男子学生も対象としており、日本初のできごとではないだろうか。それは、できごとというより「快挙」であろう。

 修学環境を提供することが重要であり、授業科目の履修および図書館等の学内施設を利用することで、交流から生まれるゼミ活動や授業の活性化が楽しみでもある。申請期限は4月12日(火)であり、注目される。1950年設立の単科大学であり、その組織のシンプルさが英断を促したのかもしれない。他大学にも是非、派生してほしい。

 これは、企業(Corporate)でなく、もう一つのCSR College Social Responsibility(大学の社会的責任)と呼べるかもしれない。こういう画期的な運動が受験生や親御さんに伝わり、評価され、いい影響が清泉にもたらされたら、最高である。
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by krisyoyogi | 2011-04-06 21:40