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文科省が全大学に対し「震災者支援ボランティア」単位認定を呼びかけ   


 本日付朝日夕刊によると、文科省は、今週中に各大学に対し、通知によりボランティア活動を単位認定すること、そのために休学する学生に授業料減免措置、傷害保険加入の周知徹底を求めるという。論点は、一口にボランティアといっても、単純に被災地の事情に合わせ、荷物運びや給仕に時間を提供するいわば「一般職」から看護スキルや技能を要するプロボノ的「専門職」まであり、時間管理や現場に居合わせていない教員がどうフェアに認定するかの現実的な問題がある。


 千葉県浦安市の明海大学では、カリキュラムとして既に「ボランティア活動」がある。単位修得の条件は、事前の講習会(90分2回)を受講していること、4年間の間で40時間以上の活動を行なうこと(この活動時間については受け入れ先担当者が認定)、活動の日誌を受け入れ先担当者に提出することの条件を満たす必要がある。その後レポートを提出、ボランティア活動報告会(年4回開催)に参加することなどがある。この例では、ボランティア活動終了後、浦安市から「活動証明書」が発行されるという。いわば「社会的認証」システムがそこにはある。


 文科省の通知を受け取り、学生を現実として送り出す大学側にとっては 体制を整えなければならず、「寝耳に水」だろう。何を文科省は勝手なことをとご立腹の先生方が多く出現することは予見できる。しかし、個別授業を指弾するつもりは毛頭ないが、とりわけ人文・社会科学分野の学生の「国際競争力の低下」は多くの識者が懸念を表明しているし、「失われた経済の20年」の後には、さらにおそろしい「失われた高等教育の10年」が、得ることの少ない壮大な時間のロスでしかない「就活」の長期化・早期化も相まって確実に進行している。

 つまり、目先の授業は重要だが、明らかに日本のパラダイムシフトが必要な時代に、どういう人材が日本にとってほんとうに必要かを考えるきっかけが未曾有の東日本大震災にはあると思う。例えば、ある学生が気持ち先行で東北に行ったものの、何も貢献できなかったと挫折したとしても、その失敗が明日への就学・就職意識の向上、そして明日の日本を担う大学生のキャリアマインドの糧になるとは考えられないだろうか?仮に、1割の大学生に相当する7万人の学生が参加し、学内に戻ってきたら、授業や個々の活動が相当活性化するのではないだろうか?困難は理解できるが、是非、各大学には導入を前向きに検討してもらいたい。


  さて、先の明海大学のケースに戻るが、現在浦安市から提供されたボランティアのメニューは特別養護老人ホーム、保育所、公民館などの29施設、42メニューであり、そのメニューの中から学生が活動したいものを選択する方式となっている。ボランティアは強制では意味はなく、あくまで「任意」だ。ギャップイヤーは「インターン・ボランティア・国内外留学」の3要素だが、「ボランティア」の軸はしっかりしており、大学生の能力開発に寄与する試みとして賞賛したい。
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by krisyoyogi | 2011-03-31 21:40

東日本大震災での遺児数は・・・・阪神大震災の4倍の2000人超か。   

27日付毎日新聞が、病気や自殺で親を亡くした北海道「あしなが育英会」の大学生らが東日本大震災で親を失った遺児のため、JR札幌駅前で街頭募金を呼び掛けたとのニュースを伝えている。募金は遺児への奨学金や将来的に心のケアをする拠点施設の建設を目指す。
 学生募金事務局代表のMさん(北海道大2年、20歳)は神戸市灘区出身で、4歳の時に阪神大震災で自宅が被災し、数週間の避難所生活をした経験を持ち、今回は当時の支援に対する恩返しの気持ちが強いと語られれている。

 警察庁の26日時点のまとめで、震災の死者・行方不明者は2万7000人超。震災遺児が573人に上った阪神大震災の4倍以上で、遺児の数が2000人を超す可能性もあるという。大変な数だが、自然災害や自殺で親を亡くした遺児が就学機会を失う、就業に支障をきたすというアンフェアな国にしてはいけないと心から思う。
 
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by krisyoyogi | 2011-03-30 09:08

山口県立大学の被災学生への「科目等履修生」制度の活用はすばらしい!   

 昨日28日に発表されたが、東日本巨大地震で被災した学生を無償で受け入れて、単位修得できるようにするというもの。被災した学生の大学が認定すれば、卒業に必要な単位に組み込める。
 これは、被災学生との同世代交流を通して受容れ側の学生の成長にもつながり、すばらしい試みだと思う。ぜひ、全国の公立大学(80大学)や他の国立・私立大学に広がってほしいものだ。

 JGAP(日本ギャップイヤー推進機構協会)が提唱している「日本版ギャップイヤー制度(Jギャップ)」(注1)の3軸の一つである「国内外留学」の浸透のためには、この「科目等履修生」制度は鍵であり、多くの大学で適用されれば、いっきに進むと考えている。



 ※注1:原則、高校卒業時から大学卒業時までに「インターン・ボランティア・国内外留学」を4カ月から1年利用し、経験できる制度を「日本版ギャップイヤー(Jギャップ)」と呼称している。参加は任意だが、英国並みの1割、すなわち日本の1学年70万人の大学生の内、7万人の参加を目指す。諸外国のギャップイヤー経験者は、大学中退が減り就業力が高くなることが、定性的ばかりでなく定量的にも解明されるようになってきている。日本の大学生の国際競争力が明らかに落ちて、「失われた高等教育の10年」が進行する中、長期化・早期化で収穫少ない日本特有の「就活」の短縮や夏休み・春休みを活用すれば、4カ月は捻出でき、制度導入が可能との論拠。
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by krisyoyogi | 2011-03-29 09:59

既報「就職失敗自殺者」46名の内訳で、男子学生は40名だった。   

 昨年の「就職失敗」によるとされる大学生の自殺が倍増して46名になったゆゆしき事態は、このブログ(3月3日付)でも紹介したが、3月28日付P誌によると、内訳が40:6名と男子学生が多かったことが記述されていた。女子学生が少ないのは、「結婚に逃げる」選択肢があるからではという考察もあった。普通のまじめな学生がES(エントリーシート)を100件も出し、面接にこぎつけるのが数社で、その上で「お祈りメール」や封書が企業から届けば、落ち込むのはやむを得ないし、これが1年半も続き、それでも決まらず、大学は卒業し、特別研修生のような「記号」を与えられてどうなるのだろう?「心のケア」体制も必要になってきた。

 今回の3・11大震災による企業側が示す内定取り消し数が、16年前の阪神大震災時の500名規模と比べ、どのくらい深刻なのかも注視しなければならないが、一刻も早く「就活」の短期化・晩期化を実施し、大学学内で本来の「修学」環境をまず整えないと、高等教育人材育成の大変な障害が続き、日本国家にとって、大きな損失になる。先進国はこんなことをしていないので、少なくとも「人材の国際競争力」はますます落ちる。経済団体や企業は、今日明日を支える大学生の「人材」獲得が目的であり、その「人材」が育つ前に、それを邪魔するようなことはしたくないはずで、冷静に現在の有様を見てほしい。
「早く内定を出して、学生を楽に」という善意の企業もあるだろうし、また、就活の晩期化(いわゆる「後ろだおし」)にしても学生は救われないというマッチポンプで生業としている人材コンサルタント(聞こえはいいが、就活ハウツーを指南しているだけの輩が多い)もいるが、信に求めたい人材、社会に資する人材とは何かを考えてほしい。大学も、人材育成といっても「就活セミナー」といったハウツーの域を出ないところも多く、「学生の人材力養成」の視座から、親身になって主張すべきだ。

  「貧すれば鈍する」――これ以上の言葉が思い浮かばない。
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by krisyoyogi | 2011-03-27 10:31

東日本震災に追い打ち掛ける大学生の「内定取り消し」の悲劇   

 20日付読売によると、東日本巨大地震の被災地の企業などで、4月に入社予定だった大学生の内定取り消しが出始めているらしい。紹介されているのは、青森公立大(青森市)の例で、学生2人が岩手県内のホテルなどから内定を取り消されたという。観光客の激減は避けられず、企業としての先行きも見通せないという理由だ。

 先に、厚労省が発表した2月1日時点の大学生の就職内定率は77・4%と過去最低を更新したが、一段と悪化するかもしれない。

また、12年春に入社予定の新4年生の採用活動について、被災地の学生が不利にならないように、面接などを当初予定の4月から遅らせる企業も出ている。被害が局地的だった阪神大震災が起きた1995年春の就職では、内定を取り消された大学生と高校生は全国で512人と、前年(109人)の4倍以上に増えている。それに比べて、さらに深刻な事態だろう。何せ、工場ごと津波に持っていかれ、働く拠点を奪われた企業もあるからである。経営体力に乏しい中小企業に採用活動をする余裕があるのかどうかで、そのダメージは08年のリーマン・ショックをはるかに上回る恐れがある。
 また、「既卒」の学生が不利な扱いを受ける懸念から、都内の私立大は「卒業延期を認めることも検討中」とある。こんなテクニカルな話が横行することが日本の高等教育の現状だ。

 ただ一点、私に光明に映るのは、被災した大学3年生(新4年生)の就職活動が不利にならないよう採用活動を遅らせる企業が出てきたことである。パナソニックは、志望書にあたるエントリーシートの締め切りを、5月中旬まで約2か月延期した。面接など選考活動について新日本製鉄やトヨタ自動車などが、4月から6月以降に遅らせる。

 平時においても、大学生を育てるために、協定でも自主的にでも「就活」を晩期化・短期化を目指してほしい。学生はもとより、大学、企業もこのおそろしく形式的儀式に明らかに実りなく疲弊しているではないか?結局、それは採用企業において、国や企業を再生してくれる成熟した人材を獲得できることになるのだから・・。
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by krisyoyogi | 2011-03-20 21:13

厚労省の「中小企業インターン」プログラム応募者20名の怪   

 9日付の毎日新聞の記事「インターンシップ閑古鳥 応募たったの20人」が話題になった。厚生労働省が実施する若者向けの就職支援策が惨たんたる状況だったかrである。内定を得られない学生や就職できない既卒者を対象に、中小企業でインターンシップ(企業実習)に参加してもらい、就職に結びつけてもらう事業で、昨年9月から5000人の枠で募集を始めたが、応募したのは全国でわずか20人という内容だ。失敗の理由は、9月というと、夏休み以後だから、大企業を中心に会社周りをしたほうが効果的だと考えた学生が多かったことが敗因かもしれないが、他にも原因はあるはずだ。対象は大学や大学院、短大などの卒業年次の学生と卒業後3年以内の既卒者。2週間を基本に3日から最長1カ月間、中小企業で職場体験をするものだった。厚労省扱いの予算(1億8千万円)だったため、全国のハローワークを通じて募集という「販路」の魅力のなさもあったかもしれないし、ターゲットを既卒者に限れば結果は変わっていたかもしれない(内訳:既卒者1人、現役学生19人)だけ。受け入れ先として登録した企業も17都道県の34社にとどまり、魅力に欠ける。

 また、受け入れ企業側には1人1日当たり3400円の謝金が支払われるが、インターン生には支払いなし。また、インターン中に企業側が入社を勧めることを認めていない。この事業は、文科省との協業(例:大学のキャリアセンター)があれば結果は違っていたかもしれないし、インターン実務の内容(例:専門性がマスターできるとか、厚労省なのだから、医療・福祉・保健の目玉を用意するとか)の開示と学生のマッチングをもう少し意識すればよかったと考える。

 批判は多いが、次年度は事業を是非ブラッシュし、”捲土重来”よろしく、実効性のあるプログラムを開発してほしい。
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by krisyoyogi | 2011-03-13 00:30

3月14日「ソーシャルビジネス・メッセ2011」は中止となります   

 ソーシャルビジネス・メッセ2011中止のお知らせ
本日、宮城県北部で発生しました地震による影響のため、平成23年
3月14日(月)に予定しておりました経済産業省主催のソーシャルビ
ジネス・メッセ2011は中止となることが発表となりました。
 謹んで、ご報告申し上げます。

関係の皆様、どうかご無事でありますよう心からお祈り申し上げます。
                       
                            砂田
                           JGAP
   
            記

(中止するイベント) ソーシャルビジネス・メッセ2011
   開催日時   平成23年3月14日(月)13:00~
   開催場所   TEPIA(東京都港区北青山2-8-44)
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by krisyoyogi | 2011-03-11 20:15

「ソーシャルビジネス・メッセ2011」(経産省主催)でお会いしましょう!   

「ソーシャルビジネス・メッセ2011」(3月14日13~18時)が港区青山のTEPIA(銀座線「外苑前」徒歩4分)で開催される。一般社団法人 日本ギャップイヤー推進機構協会(JGAP)も参加する。私は、幸運にも15時50分からJGAPの活動について、単独でプレゼンをさせていただくことが決まった。
 「失われた高等教育の10年」にしないため、すなわち、大学生の国際競争力向上のため、「インターン・ボランティア・国内外留学」の統合プログラムが必要との論拠を示したい。

 
参考サイト:
http://www.socialbusiness.jp/


 今年のテーマは「みえる・わかる・つながる」だ。JGAPは生まれたばかりの民間団体だが、「壊しては日本の未来はない高等教育」の現状を鑑み、その運動・事業(設立趣意書だけでも21ページのボリューム)をたっぷり説明し(みえる)、参加者にご理解いただき(わかる)、それが共感をもって協業につながるよう、努力したい。そして、高等教育の人材育成の在り方に一石を投じることで、そこから大きなソーシャル・イノベーションに止揚できればすばらしいと思う。

 それでは、当日ご都合つく皆様、ぜひ青山・TEPIAでお会いしましょう!!
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by krisyoyogi | 2011-03-07 12:56

参議院議員会館での就活デモ東京実行委員会の訴えから学ぶもの ~ 「失われた高等教育の10年」の危険性   

 「就活が抱える問題に関する院内集会」(2月22日、参議院議員会館)の模様が、本日付朝日の教育面で紹介されている。就活デモ東京実行委員会のH代表は「平日に説明会、面接をされると学業はもちろん生活のためのアルバイトもできない」等、学生のおかれた状況を訴えている。ステークホルダー間に「今の就活は極めておかしい」との合意はほぼ得られると思うが、採用企業・大学・親御さん等それぞれの思惑があり、なかなか全体最適の解は得にくい問題ではあろう。
 ただ一点、「日本の大学生の能力・スキル開発を含めた人間力向上(生きる力)」の視座で考えることは、異議はほとんどないはずだ。就活をその視点を見直してみると、その早期化・長期化の弊害は計り知れなく大きい。つまり、落ち着いて学業ができない、あるいは集中できない大学生活が最大1年半も続くと、日本高等教育の低下に直結するのは明白で、それはまた、経済の国際競争力を誘発する「負のスパイラル」に陥ってしまう。

 「失われた経済の20年」の次にやってくるのは「高等教育の失われた10年」だ。大学生活を「学業」と「インターン・ボランティア・国内外留学の3要素での人間力構築」の2軸で再編成することをJGAP(日本ギャップイヤー推進機構協会、Japan Gap Organization)は強く主張する。
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by krisyoyogi | 2011-03-07 10:39

敢えて、例の「予備校生」に対して冷静な対応を!   

 まず、カンニングそのものを犯罪とする法律はない。誰が何の目的かはわからなかった時点までは、過激な報道があってもいたし方ないかもしれない。しかし、昨日の昼には「受験した予備校生」とわかったはずであり、そこからなぜ出身都市、わかってしまう出身高校、所属していた運動部、通っていた塾、父親のことをご丁寧に暴露しなければならないのか?さらに悪質なのはテレビの情報番組であり、祖父にコメントを取っていたが、全く持っておかしく、人権問題と感じる。事件の本質と全く関係ないではないか。個人的には、そういうお気軽な情報漏えいこそが社会の病根であり、犯罪に近いのはそちらの行為だと思う。

 袋叩きはやめ、青年をこれからどう立ち直せるかの視点こそが議論されるべきだし、そもそも大学の入学試験の管理体制の不備の反省と、受験生への混乱のお詫びが聞こえてこない。予見できていたリスクだ。普通の私立大学なら、あれほど多くの人を敵に回すような強弁はできなかったはずだ。大学は被害者としての側面はあるが、普通の企業ならまず顧客(この場合、受験生)とそのまわりのステークホルダーに誠意をもって自ら引き起こしてしまった混乱を謝罪し、今後の対応の指針を示すものだ。何より、カンニングを教室で見つけていれば、これほどのばかげた騒ぎにはならなかったのだから・・・。
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by krisyoyogi | 2011-03-04 15:43