「就職難で留年 4万5000人」のNHK報道をどう観るか~ギャップイヤーの活用をすみやかに   

8月4日夕刻にNHKが伝えるところでは、今春の大卒者はやはり大変なことになっている。

 大学を卒業した学生の就職率は61.6%と、過去最大の下落幅となった前年度と同じ低水準。就職難を背景に留年する学生は4万5千人を超え、2年連続で増加しており、各大学では、就職が決まらない学生達をどう支援していくか、頭を抱えている現状が見えてくる。


 文科省によると、今春大卒者は55万人で、このうち就職したのは34万人、就職率は61.6%だ。これは、3年前のリーマンショック等、世界規模の金融危機の影響で企業が採用を手控えて、過去最大の下落幅となった前年度の就職率と比べても0.8ポイント上回っただけで、依然低水準のままとなっている。


 大学を4年間で卒業できず、1年留年した学生は、4万5千人(2年連続増加)。さらに大学を卒業後、進学も就職もしていない若者は9万人弱(3年連続増加)も存在する。簡単にいえば、ハローワークに足繁く通っているか、アルバイトしているか、なんらか家業を手伝っているか、ニートや引きこもりぎみの若者も多いはずだ。9万人といえば、小ぶりな近郊都市の総人口規模に相当する。


 大学生の就職状況に改善がみられない中、各大学では、卒業後までを見据えた長期の就職指導・支援をどうするかが新たな課題となってきた。大学は入学時だけ甘い話をして、学生の出口は知らないとは言えないので、具体的にどうポジティブな環境づくりをするかが問われる。


 そこで、「就業体験(インターンシップ)・社会体験(ボランティア・国内外の非正規留学)」の統合概念であるギャップイヤーを「大学就学前」だけに押し込めるのではなく、留年生や就業未経験大卒者(目安は卒業3年内)に適用することを提言する。高等教育先進国の英国でも米国でもギャップイヤーの概念は広くなっている。


 例えば、被災地や限界集落に希望する若者達を送る事業として、大学は4ヶ月から1年がんばったこのギャップイヤー経験者(gapper)に単位化や「修了書」を準備する。


 4月に、JGAPのシンクタンク部門であるギャップイヤー総研は、大学・短大1学年70万人のうち、希望者1割の7万人が4ヶ月間ギャップイヤーを経験すると、労働換算で(時給900円で7時間勤務、週2日休み)、400億円の金銭価値が生まれると試算した。仮に9万人がこの事業に手を挙げたら、大変なソーシャル・イノベーションが起こりえる。


 行政は今期の補正で予算化して補助・助成を行い、企業や社会は、その若者達を承認・評価・応援していく。このような”正のスパイラル”は実行できないものだろうか。
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by krisyoyogi | 2011-08-04 22:42

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