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被災地でのボランティアを単位認定する大学は少なすぎるのでは?!   

 7月17日付朝日新聞朝刊では、3面の総合面と33面の首都圏地域面の両方で、被災地復興に取り組む大学が紹介されている。前者では、筑波大が、大震災に関連するボランティアに参加した学生に単位を与える授業を新設したとある。学生は被災地での活動の注意点について事前に説明を受け、原則5日以上(45時間以上)活動に参加すると、1単位が与えられる。


 明治大は、津波震災地や液状化被害が深刻な浦安市での活動とレポート提出等をミックスした授業を始めた。早稲田大では、4月から10回にわたって被災地バスツアーを実施し、延べ600人の学生・教職員を送り込んだという。また、復興に関する学内の中期的・短期的研究に特別助成金を出すことを決定した。


 東洋大学では、教員に対し、地震や放射能等の研究成果を積極的に発信するよう指示、5日間実施したシンポジウムには、1800人が訪れた。


 東北芸術工科大では、学問の特徴を生かし、津波で泥や水につかった書物や彫刻の修復に取り組んでいる。書物だけで宮城・岩手から4千冊が運び出され、これまで900冊余りの処置を終えた。


 後者では、文教大学国際学部が、これまで海外での紛争後の復興支援で学生にボランティア論の単位を認定していたのを、大震災に適用し始めたとある。多くの児童が犠牲になった大川小学校周辺に宿舎を構え、昼は住宅の泥出し、夜は中学生たちの勉強を見る。活動が縁で親達から風呂に招かれ、津波の恐怖や子供を
失った悲しみなどを聞かせてもらった学生もいる。


 それにしても、日本には4年制の大学が800校近くある。「被災地に旅立った学生を管理できない(行ったかどうかもわからない)」「残った学生との比較がフェアにできない」「安全が担保できない」 私が、大学関係者や教員から聞いた「ないない」ずくしのボランティア認定授業が増えない理由だ。授業の公平性や学生の参加の有無など、被災地で活躍するNPOや大学の長に相談し、報告や承認をお願いすれば、簡単に解消できる問題ではないか。


 例えば、NPO法人キッズドアは3泊4日の被災地プログラムを作り、バスをチャーターしている。準備されたメンタルケアセミナーを事前に受け、被災地での接し方を学ぶことも義務付けているので、「出席」確認は難しくないだろう。こんな具合に、今ある難点というのは、大学関係者が本気に解決しようとすれば、それほど困難とも思えない。学内にあるボランティアセンターと単位認定を前提に知恵を出せば、多くは解決するだろう。


 また、大学では、 「いわてGINGA−NETプロジェクト」との連携が考えられる。被災地の支援ニーズと学生のボランティアニーズを効果的に結びつけるようという趣旨で発足した合同プロジェクトだ。
 企画・運営にあたっては、岩手県立大学学生ボランティアセンターが、県内のボランティア活動プログラム開発し、マッチングや宿泊サポートを行っている。ユースビジョン及びさくらネットは、全国の大学ボランティアセンターや学生ボランティア推進団体と連携して、学生ボランティアの募集、送り出しを行っている。

 

 こういう活動や連携が進めば、日本の大学が親元離れたボランティアやインターンをするギャップイヤー制度を構築するための基盤づくりになるので、注視している。


 東日本大震災という大変な事象に見舞われ、日本の従来の仕組みや価値観が根底から崩れる、あるいは構造変化する機に、多くの大学が依然何もなかったように「象牙の塔」に閉じこもり、何もなかったように授業や講座の解釈を変えない、あるいは「現場」に向かって一歩を踏み出さないという現状は、私にはどうしても理解できない。

by krisyoyogi | 2011-07-19 23:26

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