ギャッパー出身の学習塾長:(履歴書的には)傷だらけのスター教育軍団に栄光あれ!   

 東京・巣鴨に受験塾「キズキ共育塾」が登場した。


 塾長の安田祐輔さんは、1983年生まれ。ICU在学中に、イスラエル・パレスチナで平和構築NGOを組織した後、大学を休学し、ルーマニアの研究機関でインターンも経験している。そこでは、主に紛争解決に向けたワークショップのコーディネートを担った。また帰国後は、今度は、バングラディシュを行き来し、娼婦街にて、現地の学生、NGOと協力して、映画作りにも関わった。09年に日本に戻り、大手商社に入社したが、昨年6月にこの塾を立ち上げたのだ。


 彼は、まぎれもないギャッパー(ギャップイヤー経験者)だ。ただ、普通のギャッパーと違うのは、「元・不良」ということだろう。高校時代は「不登校、ピアス、茶髪、ちょっと目つきが怖い暴力系」の写真を見せてもらったことがある。今の端正な身のこなしからは想像できないが、家族からは鼻つまみ者だったに違いない。


 そんな彼だから、猛勉強の末、2浪でICUに入学できた。すごい集中力だ。そして、大学合格で自信がつき、前述した”シャバ”に戻れたと言う。彼の問題意識は、かつての自分と同じような環境にいる生徒たちはいっこうに減らず、もがいている。それなら自らの経験を生かして編み出した学習法・指導法で、精神的に傷ついた子供達の成績を上げたくなったと言う。

 私は、たまたま社会起業支援NPOのETIC.で彼のメンターになり、ディスカションしながら、相談に乗っていた。年始に安田さんに提案したのは、同じ境遇にあった履歴書的に”傷だらけ”の教師を集められれば、競争力を持った組織になるということだった。暴力的だった反社会組も、引きこもりだった非社会組の生徒達にも”寄り添う”ことができる強みが確保できる。生徒達は心を開き、先生を兄貴姉貴といった安心のロールモデルになることだろう。


 その提案は実現した。講師は全員、元不登校・高校中退やフリーターなどの経験を持つドロップアウト組の講師(大学生)というユニークな組織体を作り、ニート・不登校・中退経験者の社会復帰のための受験塾となった。


 安田さんのほかには、不登校・うつ病・商業高校を経て22歳で早稲田大学へ進学したという経歴を持つ学生や、高校卒業後派遣労働者となった後にICUへ進学した若者、また不登校・中退を経験した後に早稲田大学へ進学といった”一筋縄ではいかない”様々な社会経験を経た猛者(もさ)たちが講師スタッフとして参加している。

 
 この国では、残念ながら多様性はない。「中学・高校・大学・就職」という既存のストレートなレールから一度でも外れてしまうと、もう一度やり直すことは容易ではない。だから、らち外にいったんドロップアウトしてしまった生徒達に、大学受験をきっかけとして、人生の再チャレンジをしてほしいと安田さんは考えている。


 教育ではなく、”共に育つ”という共育が、メインメッセージだ。傷をかつて持っていた講師陣なら、傷ついた生徒達の傷もきっと癒せるはずだ。

 
 「キズキ共育塾」の未来に栄光あれ!


【情報】キズキ共育塾:東京都豊島区巣鴨4-28-4オーガスト80-301号室・電話090―2629―4955。
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by krisyoyogi | 2011-07-16 01:17

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